日本の装飾美術ゼミ 第2回目です

9月27日に「日本の装飾美術ゼミ」が始まりました。11人の方に参加していただきました。

さて第2回は10月25日の土曜日、同じ調布市文化会館たづくりで開講します。テーマは「境界は美術作品とどう関わるか」です。まずは生と死の境界についての検討から、まずはこの作品

長野県富士見町の井戸尻考古館が所蔵する「石うす」です。この「石うす」のわきには、こんな説明文がありました。

この辺から境界と美術を考えていこうというわけです。

もう一つのテーマは「描かれた松」を考えていきます。松は境界を示す樹木です。例えば、この作品、三川内焼の「染付松樹文壺」ですが、なんとなく松が描かれたのではないでしょう。ではどんなことがこの壺の背景にあるのでしょうか。

そこで松島、浜松、能舞台の鏡板、松の廊下、長唄の松などなどから松を考えます。
お楽しみに・・・

新たな参加希望者は下記メールアドレスにメールをください。

shigeseminar@gmail.com

ジブリ作品の境界・異界

ジブリ作品と異界・境界
筒状の場所、井戸、トンネル
1. 「となりのトトロ」でメイは穴のあいたバケツ(筒状の暗闇の向こうに明るい世界がのぞき見える)で小トトロを発見し、家の床下追いつめる。
2. メイは引っ越しを試みているのか風呂敷を背負った小トトロと雑草の庭で追いかけっこを展開し、あげくの果てに草のトンネルをくぐりぬけることになるのだ。そして鎮守の森の大楠木の根元にある洞を転げ落ちて大トトロの休む壺の中のような空間に至る。トトロに至る草のトンネルは後にサツキがトトロに合うために再びくぐることになる。
3. 「千と千尋の神隠し」の冒頭、アウディに乗って新しい郊外の家に向かう途中、道を逸れてしまい朽ちかけた神社のわきなどを通りながら、猪突猛進型のお父さんが車で突き進んだ先はテーマパークの残骸の入口であった。その入り口はまるでトンネルの口のように建物に穿たれていた。千尋の家族は建物(トンネル)をくぐって別世界に行ってしまうのであった。
4. 「天空の城ラピュタ」でシータとパズーは飛行石によって鉱山の垂直の穴を浮遊しながら下りていく。地底に降り立つとそこは鉱石のざわめく別世界であった。
5. 「思い出のマーニー」で幽霊が出ると恐れられたサイロ。そこで杏奈とマーニーは別れる。

1. 「となりのトトロ」冒頭のシーンはオート三輪による引っ越し場面から始まる。オート三輪が郵便配達人を追い越しながら、小さな橋を越える。
2. 新居についた草壁一家は家にいたる草が生い茂ってトンネル状の道を登るが、その手前に清流の流れる小川にかかる橋をわたる。
3. 宮崎駿の「千と千尋の神隠し」では、「油屋」の入口に至る橋がある。そこを渡ることは、明確に違う空間に入り込むこと意味している。千尋はその橋でハクと出会う。また物語の終わりも橋でのイベントであった。
駅、列車
1. 「千と千尋の神隠し」では銭婆のところに向かう千とカオナシが乗る電車、電車が通過している駅、また到着する「沼の底」
2. 「思い出ぽろぽろ」で岡島タエ子が乗る夜行列車、到着する高瀬駅山形県に実在する)
3. 「思い出のマーニー」で杏奈が出かける札幌駅、到着する「岸浦?」駅
水辺
1. 「千と千尋の神隠し」では水が満ちて、現実世界がはるか遠くに見える。
2. 「千と千尋の神隠し」の銭婆は水の中を走る電車の果ての「沼の底」にある。
3. 「思い出のマーニー」の湿っ地屋敷は入り江の向こう側にある。
階段、床下
1. 「となりのトトロ」ではメイとサツキが二階に上る階段を見つける。そこから見た二階は薄暗く強く異界を感じさせる場所であった。
2. 「となりのトトロ」で楠の大木のある神社(楠が御神体?)は階段の上にある。
3. 「千と千尋の神隠し」では千尋が釜爺に出会う前に危うく落ちそうになりながら欠け落ちていく階段がある。
4. 「思い出のマーニー」では道から舟着き場へ階段を下る。また湿っ地屋敷の船着場には門があり、その先に階段がある。
5. 「思い出のマーニー」で杏奈は神社の階段の前でトラブルをおこし、シンボリックに神社の階段を登らない。
6. 「仮ぐらしのアリエッティ」は床下が舞台。
7. 「となりのトトロ」でメイが小トトロを見つけたあと、小トトロが隠れるのは(住んでいた?)のは床下。

講座「日本の装飾美術ゼミ」開講 第一報

いよいよ本格的な自主ゼミを開くことにしました。概要を記します。


「美術をもっと学びたい」「美術を趣味から研究へと深めたい」 という方に受講いただきたい日本の装飾美術の入門講座です。

美術という概念がなかった縄文時代から、バラエティ豊かな美術が育った江戸時代、そして現代アートまで、美術はとてもおもしろいものです。それぞれの時代に人々は何を信じ、何を希求していたのか、美術は時代からどのような感化を受けたのか、など興味がつきません。日本の美をさまざまな角度から1年を通して理解を深めていきませんか。受講者は趣味や学びはたまた研究までさまざまでしょう。この講座はそれぞれの立ち位置から参加してもらい、少人数ゼミ形式でおこないます。

カリキュラム

いくつかのテーマについて事前に問題提起し、ゼミでそれについてディスカッションしてこととします。さらに参加者の口頭あるいは作品発表から討論をすすめることもあるでしょう。本格的な研究や製作の入り口に立つものと位置づけたいと思います。

第1回: 9月27日(土)  講師 泉滋三郎によるレクチャー「日本の装飾芸術」について
第2回:10月25日(土)  講師 泉滋三郎によるレクチャー「日本の装飾芸術」について Vol.2

第3回:11月29日(土) 問題提起・ディスカッション
第4回:12月27日(土) 予定 問題提起・ディスカッション    
第5回: 1月24日(土) 予定 問題提起・ディスカッション 
    
第6回: 2月21日(土) 予定 各自のテーマ発表
第7回: 3月28日(土) 予定 研究報告
第8回: 4月25日(土) 予定 研究報告
第9回: 5月23日(土) 予定 研究報告

第10回:6月27日(土) 予定 研究発表会Vol.1
第11回:7月25日(土) 予定 研究発表会Vol.2
第12回:8月22日(土) 予定 ゼミ全体のまとめ

12月以降は仮のスケジュールとなっています。毎月第4土曜の日程ですが、月により開講日が変更することもあります。ご了承ください。

詳細・申し込み方法

会場: 調布市文化会館たづくり 8階 会議室
    〒182-0026 東京都調布市小島町2丁目33−1

時間: 18時〜20時30分 予定

定員: 15人
     定員を越えた場合は、こちらで選抜させていただきます。ご了承ください。

受講料:年間  5,000円 
    1講座  500円 

講座は、年間で5,000円です。各講座ごとの受講も可能です。その場合は、1講座 500円となります。
年間通しての受講料は2講座分(1000円)お得です。

お支払いは、当日、受付でスタッフにお支払い下さい。

申し込み方法

メールにて申し込みをお願いします。

shigeseminar@gmail.com
件名に「 日本の装飾美術 ゼミ申し込み」、本文に氏名・年齢・職業・どのようなテーマで研究をおこないたいか(簡単な文章で構いません)をご記入ください。
また、受講料(年間・1講座づつ)の希望をご記入ください。

申し込み締め切り:9月11日まで

その他にも、ご質問等ありましたら、上記のメールアドレスにご連絡ください。

自主ゼミ「やきものABC」開催

既にお知らせしたように、下記の要領で自主ゼミ「やきものABC」を開催します。

自主ゼミ「やきものABC」

初心者のための陶磁史ゼミ

日本のやきもの(陶磁器)を歴史といっしょに考えていきましょう。それらのやきものを、それぞれの時代の文化の中においてみるとどうなるでしょう。たとえば古い常滑焼の壺は少しゆがんだ荒々しいものですが、その荒々しさは逞しいとも感じられます。それは鎌倉時代の庶民の野生的な逞しさのあらわれなのかもしれません。

丹波自然釉壺 丹波古陶館

また江戸時代初期の九州の唐津伊万里の陶磁器は中国や朝鮮と密接に関係しています。そのことは陶磁器に限らず、さまざまな文化、たとえば絵画や茶の湯東シナ海を介して中国や朝鮮と密接に関係したことを示しているのではないでしょうか。このように日本のやきもの(陶磁器)を同時代の文化的な流れの中で考えていこうというわけです。

白磁観音像(マリア観音?) 天草サンタマリア館

第一回目は、平安時代の終わりから室町時代のはじめにかけての陶器。第二回目は室町時代の終わりから江戸時代の陶磁器についてです。今回は初心者むけに私の方から問題提起のお話をして、その後、ゼミ形式でディスカッションできればと思います。

まだ、席に余裕があります。

日 時 第一回 平成26年8月2日(土) 午後1時30分より3時30分まで

第二回      8月9日(土) 〃

場 所 横須賀市生涯学習センター

〒238-0046 神奈川県横須賀市西逸見町1-38-11 ウェルシティ市民プラザ内 5階

地図を参考にしてください。

定 員 30名

会 費 一回500円 二回通しで1000円 会場にて受け付けます。

申 込 下記あてメールで申し込んでください。

pxx03062@nifty.com

申込者にはメールで返答いたします。

自主ゼミ「やきものABC」まだ席ありますよ

下記の要領で自主ゼミ「やきものABC」を開催します。

自主ゼミ「やきものABC」

初心者のための陶磁史ゼミ

日本のやきもの(陶磁器)を歴史といっしょに考えていきましょう。縄文土器から今日の食器にいたるまで日本にはいろいろなやきものがあります。それらのやきものを、それぞれの時代の文化の中においてみるとどうなるでしょう。たとえば古い常滑焼の壺は少しゆがんだ荒々しいものですが、その荒々しさは逞しいとも感じられます。それは鎌倉時代の庶民の野生的な逞しさのあらわれなのかもしれません。さらに、そこからは古代以来の壺とは何?ということを考えるきっかけになります。

常滑の壺

また江戸時代初期の九州の唐津伊万里の陶磁器は中国や朝鮮と密接に関係しています。そのことは陶磁器に限らず、さまざまな文化、たとえば絵画や茶の湯東シナ海を介して中国や朝鮮と密接に関係したことを示しているのではないでしょうか。このように日本のやきもの(陶磁器)を同時代の文化的な流れの中で考えていこうというわけです。

第一回目は、平安時代の終わりから室町時代のはじめにかけての陶器。第二回目は室町時代の終わりから江戸時代の陶磁器についてです。今回は初心者むけに私の方から問題提起のお話をして、その後、ゼミ形式でディスカッションできればと思います。

まだ、席に余裕があります。

日 時 第一回 平成26年8月2日(土) 午後1時30分より3時30分まで

第二回      8月9日(土) 〃

場 所 横須賀市生涯学習センター

〒238-0046 神奈川県横須賀市西逸見町1-38-11 ウェルシティ市民プラザ内 5階

地図を参考にしてください。

定 員 30名

会 費 一回500円 二回通しで1000円 会場にて受け付けます。

申 込 下記あてメールで申し込んでください。

pxx03062@nifty.com

申込者にはメールで返答いたします。

鞆の浦ミュージアムでヤンキー人類学

広島県福山市鞆にある鞆の浦ミュージアムにいってきました。「ヤンキー人類学」を見た。残念ながら、この展覧会は7月21日に終わったしまう。
http://abtm.jp/blog/287.html

鞆の浦ミュージアム鞆の浦の築150年の蔵を改築した小さな美術館です。

「ヤンキー人類学」はとても良い企画でした。みんな知っていたのに、取り上げなかった領域を見せてくれました。アートというと暗黙の境界設定があったのかもしれないと思わせました。
展示から



これからはオフ・アートからの美にもっと注目してもよいでしょう。以前に取材した写真を
能登輪島の夏祭りの山車

珠洲での新造漁船を祝う宴会での大漁旗


それにしてもついでに行った福山市鞆の浦歴史民俗資料館の展示はなんてつまらないのだろう。鞆の浦という歴史文化の宝庫にありながら、そして鞆の浦の一等地に立地した立派な建物を持ちながら、あの展示はひどすぎないか。