2013-01-01から1年間の記事一覧

横須賀市市民大学での講座について

横須賀市民大学での講座の内容です。◆講座名 十個のうつわ ◆サブタイトル 日本を代表する十個のうつわから日本人と美を考える紹介 縄文土器以来、様々な陶磁器が作られてきました。その中から十個を選びました。製作された時代の文化的な背景をさぐり、今で…

陶磁に見られる境界観念について06

万葉集その24331 追ひて、防人の別(わかれ)を悲しぶる心を痛みて作れる歌一首天皇(おほきみ)の 遠(とほ)の朝廷(みかど)と しらぬひ 筑紫(つくし)の国は 敵(あた)守る 鎮(おさへ)の城(き)そと 聞(きこ)し食(め)す 四方(よも)の国には 人多(さは)に 満ちては…

陶磁に見られる境界観念について05

万葉集その1 『万葉集』にはいくつか忌瓮が読み込まれた歌が出てくる。忌瓮は「齋戸」、「齋忌戸」、「忌戸」「伊波比倍」「伊波比倍」「以波比弊」と原文では記述されている。中西進訳注『万葉集』では「斎瓮」としている。「斎瓮」とはいかなるものであろ…

陶磁に見られる境界観念について04

忌瓮のこと 『古事記』 や『万葉集』 には、『忌瓮(いはひへ)』という土器・陶器の器が出てくる。赤坂憲雄が指摘するように(赤坂憲雄『境界の発生』講談社学術文庫、2000) 、『古事記』では、孝霊天皇の項にかれ、大倭根子日子国玖琉命(おほやまとねこひこ…

陶磁に見られる境界観念について03

古代における境界の観念 内的世界と外的世界を隔てる境界は古くから人々の意識するところであった。では境界について人々はどのように顕在化させてきたのであろうか。 世界最古の法典とされる『マヌの法典』(田辺繁子訳『マヌの法典』岩波文庫、1953) で、…

陶磁に見られる境界観念について02

カーニバルから カーニバルと聞いて思いつくのは、ブラジルはリオデジャネイロのカーニバルや、イタリアのヴェネツィアのそれだが、日本の長野県飯田地方の南アルプスの麓、上村で十二月初旬に行われる「霜月祭」や、早川孝太郎著の『花祭』で知られる愛知県…

陶磁に見られる境界観念について

久しぶりに日記を書く。これからは自分の書いたものを積極的に公開していくこととする。 最初は「陶磁に見られる境界観念について」という大学の紀要に書いたものだ。陶磁に見られる境界観念についてその一境界とは東京国立博物館所蔵の長谷川等伯『松林図屏…